聖書に収められなかった書物
イエスとマグダラのマリアの結婚説の根拠となっている「聖書に収められなかった書物」について説明しましょう。
この書物は、一番古くて2世紀(イエスの死後100年以上)に作られ、内容が断片的で、作者も不明です。しかも、イエスの死後30年頃から弟子たちが書き始めた文書と内容が一致しません。
それもそのはず。これはもともとキリスト教とは異なる"グノーシス主義"という思想の文献だからです。ですから当然のこととして、聖書に収められることはなかったのです。
(詳しくはコラム「検証!ナグ・ハマディ文書」をご覧ください)
イエスと生活をともにした側近の弟子たちは、人間イエスの姿をもしっかりと記録しています。イエスが怒った場面、イエスが涙を流した場面、イエスが酒の席にいる場面、疲れた場面、また究極のストレスから血液のまざった汗を流した十字架直前の場面など、その他にも多数あります。
けれどもイエスが既婚であったことをほのめかす記録は皆無です。イエスの母や兄弟は登場しますが、イエスの妻は登場しません。
もしイエスとマグダラのマリアに特別な関係があれば、弟子たちはそれを隠す必要はありませんでした。
独身が禁じられていたわけではなかったとは言え、既婚男性の信頼度は社会的に高くなるのがユダヤ社会だったからです。
ですから、むしろ結婚していたのなら、それを大々的に記した方が、年配の長老たちからの支持を得るのには好都合でした。
しかし、イエスは独身だったので、既婚であるという嘘をかけなかったのです。
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