シオン修道会の秘密文書は
プランタールの自作自演
プランタールは、自分がフランスの断絶した王家の末裔だと本当に信じている変わり者でした。それを証明しようと、自らいろいろな偽造文書を作ってしまったようです。
1960年代、プランタールは古く見える羊皮紙に「フランス王家メロヴィング朝の末裔が今も生き残っている」といった内容を書いて、自ら創設したプレウリ・ド・シオン(シオン修道会)との関係を結び付けようとしました。
さらに、プレウリ・ド・シオンが、中世に実在したシオンの聖母修道会(シオン修道会とも言われる、プランタールのシオン修道会とは無関係のもの)の末裔だと宣伝。そのつながりを主張する数冊の本を著述家と共同で出版したのです。
そして、プランタールは、自分が主張することの客観的な証拠を用意しようと考え、「ダ・ヴィンチ・コード」にも出てくる「秘密文書」と呼ばれる文書群を偽造し(小説の中では「4°Im 249」という分類番号として紹介されている)、フランス国立図書館に寄贈。
これ以降、プランタールは自分の話の証拠がフランス国立図書館にあると吹聴するようになりました。つまり自作自演です。この文章はただの紙にタイプされたもので、実は歴史的な価値はないのです。
この頃('72~'79年)イギリスのテレビ作家(ヘンリー・リンカーン)らが、プランタールらから資料提供を受けて3本のドキュメンタリー番組を制作しBBCテレビで放送。さらにフランスなどに伝わる聖杯伝説と結びつけ1982年に『The
Holy Blood and the Holy Grail』邦題『 レンヌ=ル=シャトーの謎…イエスの血脈と聖杯』を出版しました。
著者ダン・ブラウンは、この本をネタにしてダ・ヴィンチ・コードを書いたとし、盗作で訴えられたのは記憶に新しいニュースですね。 |