家宅捜査で文書偽造の経緯が明らかにされた
プランタールは、1989年に発表したシオン修道会総長リストの中に、その時すでに亡くなっているロジェ・パトリス・ペラの名前を加えていました。
ペラは、金融スキャンダルに巻き込まれて自殺したフランス人投資家です。1993年、ペラの死亡事件を調べていた判事は、ペラの前後にシオン修道会の総長を務めたとされるプランタールの家を家宅捜査するに至りました。
この家宅捜査によって、プランタールの文書偽造の経緯がすべて明らかにされてしまったのです。プランタールは司法の席で、すべてが自らによるでっちあげであることを認め、ペラとシオン修道会もまったくの無関係であることを明かしました。
プランタールは以後、シオン修道会に関する宣伝活動を一切とりやめ、2000年2月3日にパリで寂しくこの世を去ります。シオン修道会は、誇大妄想癖のある奇人プランタールによって作られたおとぎ話だったのですね。
ダ・ヴィンチ・コードファンの熱い思いを冷めさせてしまうようで大変申し訳ないのですが、結局この作品は、著者ブラウンがプランタールの作り話をもとに書いた小説なんです。
シオン修道会の存在自体プランタールによる捏造…となると本の冒頭の「すべて事実に基づいている」という言葉もフィクションということになりますね。
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